
(2026年10月時点の情報です)
はじめて「ちゃんとした革靴」を買おうと思ったとき、いちばん迷うのがブランド選びだと思います。
数千円の合成皮革の靴から10万円を超えるものまで価格の幅が広く、そのうえ見た目はどれも似ているので、何が違うのかが分かりにくいですよね。
そこでこの記事では、条件を思いきり絞りました。
- ソール交換ができる作り(グッドイヤーウェルト製法)
- つま先はストレートチップかプレーントゥ
- 価格は2〜5万円
この3つを満たす5ブランドだけを並べています。言いかえると、適切に手入れをすれば10年以上つきあえて、仕事でも冠婚葬祭でも履ける1足という条件です。
この記事で分かることは、
- 「10年履ける革靴」の条件と、製法の見分け方
- 2〜5万円で買える5ブランドの代表モデルと価格
- ブランドごとの5軸評価と、向いている人
- 予算と使い方に合わせた選び方
という感じです。
革好き3流エンジニア:この記事を書いているのは、革製品マニアの下っ端エンジニアです。革靴の最初の1足は2017年にアウトレットで買ったスコッチグレインで、そこから同じブランドで何足も増えました。6年履いた1足は染め替えまでして、まだ現役です。「安い靴を2年ごとに買い替える」より「手入れしながら10年履く」ほうが性に合っていると気づいたのが、革にのめり込んだきっかけでした。
「10年履ける革靴」の条件は3つだけ
1.ソールを交換できる作りであること
革靴でいちばん早く減るのは、革ではなくソール(靴底)です。
つまりソールを交換できるかどうかが、その靴が何年使えるかをほぼ決めます。アッパー(甲革)は手入れをしていれば10年以上もちますが、ソールが交換できない作りだと、底が減った時点で寿命です。
この記事ではソール交換を前提にできる製法、具体的にはグッドイヤーウェルト製法と、その手縫い版であるハンドソーンウェルテッド製法のモデルに絞っています。
2.つま先はストレートチップかプレーントゥ
1足目は、使える場面がいちばん広いデザインを選ぶのが無難です。
つま先に横一本の切り替えが入ったストレートチップ(黒)は、仕事から結婚式、お葬式まで通ります。装飾のないプレーントゥも、ビジネスからきれいめの私服まで使えます。
ウィングチップやダブルモンクは魅力的ですが、2足目以降で選んだほうが後悔が少ないと思います。
3.価格は2〜5万円
これは「ちゃんとしたブランドの入口のライン」か「知名度はそこまででも作りの良いブランドの上のライン」が収まる価格帯です。
1〜2万円台まで下げると、どうしても製法が落ちます。逆に10万円クラスは、1足目の靴として「履き下ろすのが怖い」価格だと思います。
製法の違いをざっくり整理する
靴の値札には書いていないことが多いので、商品ページの「製法」の欄を見てください。
| 製法 | ソール交換 | 特徴 |
|---|---|---|
| ハンドソーンウェルテッド | できる | 手縫いでウェルトを縫い付ける。手間がかかり、足なじみが良いとされる |
| グッドイヤーウェルト | できる | ハンドソーンを機械化した製法。丈夫で、交換を前提に作られている |
| マッケイ/セミマッケイ | 条件つき | 軽くて返りが良い。修理できる店もあるが、回数には限りがある |
| セメンテッド(接着) | 基本できない | 安価で軽い。履きつぶす前提の作り |
同じブランドの中でも製法は混在しています。たとえばリーガルの定番として知られる811Rはセミマッケイ式なので、この記事では代表モデルに入れていません。「リーガルだから大丈夫」ではなく、モデル単位で製法を確認するのが大事です。
サイズ選びだけは、お店で合わせてください
ブランド選びより大事かもしれないのがここです。
同じ「26cm」でも、ブランドや木型(ラスト)でまったく履き心地が違います。とくに足幅(ウィズ)は個人差が大きく、合っていない靴は手入れをしても履く気が起きません。
この記事の価格は通販ページで確認したものですが、1足目はできるだけ実店舗で履いてから買うことをおすすめします。
5ブランドの比較表
| ブランド | 代表モデル | 価格(税込) | 製法 | 生産国 | 総合 |
|---|---|---|---|---|---|
| リーガル | 315R ストレートチップ | 39,600円 | グッドイヤーウエルト式 | 日本 | ★4.0 |
| スコッチグレイン | アシュランス 3526 | 48,400円 | グッドイヤーウェルト | 日本 | ★4.0 |
| ジャランスリワヤ | 98321 ストレートチップ | 39,600円 | ハンドソーンウェルテッド | インドネシア | ★4.5 |
| ロイドフットウェア | Vシリーズ 1213 | 47,300円 | グッドイヤーウェルテッド | イギリス | ★4.0 |
| ヤンコ | 14727 パンチドキャップ | 49,500円 | グッドイヤーウェルト | スペイン | ★3.5 |
評価は「ブランド全体」ではなく、上の代表モデル(シリーズ)に対する管理人の主観です。各ブランドの項では、5軸に分けた評価も載せています。
まずは定番から選ぶなら
店舗で試着しやすく、修理の相談先もはっきりしている2ブランドです。1足目で失敗したくないなら、ここから選ぶのがいちばん安全だと思います。
1.REGAL(リーガル)
日本の革靴の定番中の定番です。百貨店や駅ビルに売り場があり、サイズも23.5cmから27.0cmまで広く用意されているので、「とりあえず履いて確かめる」ができるのが最大の強みです。
ただし前述のとおり、リーガルの中にはセミマッケイ式のモデルも多くあります。ソール交換を前提にするなら、商品ページで「グッドイヤーウエルト式」と書かれたものを選んでください。
なお、2026年10月14日から価格改定が入っています。以下は改定後の価格です。
| 評価軸 | 評価 | ひとこと |
|---|---|---|
| 作りの確実さ | ★4.0 | グッドイヤーウエルト式の日本製 |
| 履き心地 | ★3.5 | 硬さは感じるが、履きならせば落ち着く |
| サイズ展開 | ★4.5 | 23.5〜27.0cm。試着できる店が多い |
| デザインの汎用性 | ★4.5 | 黒のストレートチップは場面を選ばない |
| 価格の納得感 | ★4.0 | 3万円台でグッドイヤーの日本製は良心的 |
315R ストレートチップ

引用:リーガル公式オンラインショップ
- 価格:39,600円(税込・2026年10月14日改定後)
- 製法:グッドイヤーウエルト式
- 生産国:日本
- 価格の確認先:オンワード・クローゼットの商品ページ
内羽根のストレートチップで、1足目としてはこれがいちばん潰しが効きます。迷ったらこれ、という立ち位置のモデルです。
31JL ストレートチップ

引用:リーガル公式オンラインショップ
- 価格:39,600円(税込・2026年10月14日改定後)
- 製法:グッドイヤーウエルト式
- 生産国:日本
- 価格の確認先:オンワード・クローゼットの商品ページ
315Rと同じ価格帯の、もう一つのストレートチップです。木型の印象が違うので、両方履き比べられるならぜひ試してほしいところです。
01HL ストレートチップ

引用:リーガル公式オンラインショップ
- 価格:41,800円(税込・2026年10月14日改定後)
- 製法:グッドイヤーウエルト式
- 生産国:日本
- 価格の確認先:オンワード・クローゼットの商品ページ
上の2つより少し上のライン。4万円台に手が届くなら、こちらも候補に入れていいと思います。
2.SCOTCH GRAIN(スコッチグレイン)
東京・墨田区で作られている日本のブランドです。グッドイヤーウェルト製法で、修理も自社で受けてくれます。
現行ラインは48,400円から5万円台までで、2026年6月の価格改定で以前より上がりました。ただし、アウトレットという抜け道があるのがこのブランドの面白いところです。
| 評価軸 | 評価 | ひとこと |
|---|---|---|
| 作りの確実さ | ★4.5 | グッドイヤーウェルトの日本製。修理も自社 |
| 履き心地 | ★4.0 | 幅に余裕があり、日本人の足に合わせやすい |
| サイズ展開 | ★4.5 | サイズとウィズの選択肢が多い |
| デザインの汎用性 | ★4.0 | やや丸みのある、まじめな顔つき |
| 価格の納得感 | ★3.5 | 現行は48,400円から。アウトレットなら3万円前後 |
革好き3流エンジニア:このブランドは私も所有しており、匠シリーズ、シャインオアレイン、濃茶など何足も履いてきました。下の写真は6年履いた1足を染め替えたものです。6年経ってもソールもアッパーも現役で、むしろ買った当時より気に入っています。

アシュランス 3526 ストレートチップ

引用:スコッチグレイン公式サイト
- 価格:48,400円(税込)
- 製法:グッドイヤーウェルト
- 生産国:日本
- 価格の確認先:三越の商品ページ
スコッチグレインの中でもよく名前が挙がる定番です。この記事の2〜5万円という枠にちょうど収まり、作りも文句のつけようがありません。
上位ライン(03606/T0286/T0106/T0054/I0614)
- 価格:各 57,200円(税込)
- 内訳:03606・T0286・T0106はストレートチップ、T0054はダービープレーン、I0614はプレーントゥ
- 製法:グッドイヤーウェルト
- 価格の確認先:三越の商品ページ
5万円台なので、この記事の2〜5万円という枠は少し超えます。ただ「少し足せば上のラインに手が届く」という選択肢があるのはスコッチグレインの良いところなので、あわせて載せておきます。
アウトレットという選択肢
スコッチグレインには、三井アウトレットの実店舗と公式のオンラインアウトレットストアがあります。型落ちやサイズの端数が中心なので欲しいデザインとサイズが必ずあるわけではありませんが、サイズさえ合えば国産グッドイヤーウェルトの革靴が3万円前後で手に入ります。
私が持っている1足目も、赤の型押しも、雨用のシャインオアレインも、すべてアウトレットで買ったものです。2〜5万円という枠でスコッチグレインを狙うなら、ここがいちばん現実的な入口だと思います。
なお、かつての入口だった「匠シリーズ」は、2026年9月時点で公式の現行シリーズ一覧にもオンラインストアにも見当たりませんでした。アウトレットや中古で出会えることはありますが、現行品としては数えないほうがいいと思います。
同じ価格でより手の込んだ作りを選ぶなら
3.JALAN SRIWIJAYA(ジャランスリワヤ)
インドネシアのブランドです。この価格帯でありながら、グッドイヤーウェルトより手間のかかるハンドソーンウェルテッド製法を採用しているのが最大の特徴です。
見た目も細身で品があり、「3万円台に見えない」と評されることが多いブランドです。ただし取扱店は日本の定番ブランドほど多くないので、試着できる店を探す手間はかかります。
| 評価軸 | 評価 | ひとこと |
|---|---|---|
| 作りの確実さ | ★4.5 | この価格でハンドソーンウェルテッド |
| 履き心地 | ★4.0 | 手縫いのウェルトで返りが良いとされる |
| サイズ展開 | ★3.5 | 取扱店が限られ、試着のハードルがある |
| デザインの汎用性 | ★4.5 | 細身で上品。スーツに合わせやすい |
| 価格の納得感 | ★4.5 | 製法を考えると、この5ブランドで随一 |
98321 ストレートチップ
- 価格:39,600円(税込)
- カラー:ブラック/ブラウン
- 製法:ハンドソーンウェルテッド
- 生産国:インドネシア
- 価格の確認先:菅原靴店の商品ページ
ジャランスリワヤの看板モデルといっていい内羽根ストレートチップです。1足目の「ちょっといい靴」としては、かなり強い選択肢だと思います。
98651 EDWARD プレーントゥ
- 価格:41,800円(税込)
- ソール:ダイナイトソール
- 製法:ハンドソーンウェルテッド
- 価格の確認先:菅原靴店の商品ページ
プレーントゥが欲しい人向け。ダイナイトソールはゴム製で雨に強く、レザーソールより気を使わずに履けます。通勤で履くなら、こちらのほうが現実的かもしれません。
98321 CILP WASH ストレートチップ(撥水)
- 価格:44,000円(税込)
- 特徴:撥水加工
- 製法:ハンドソーンウェルテッド
- 価格の確認先:菅原靴店の商品ページ
98321の撥水仕様です。雨の日に履く靴を分けたくない人には、この4,400円差は悪くない投資だと思います。
イギリス・スペインの定番から選ぶなら
ここからは、同じ2〜5万円でも「海外の靴」を選びたい人向けです。
どちらも取扱店が限られるため、今回は価格を確認できた代表モデルを1つずつ載せています。
4.LLOYD FOOTWEAR(ロイドフットウェア)
イギリスの靴を日本向けに展開しているブランドです。英国製のグッドイヤーウェルテッドで、この価格に収まるものはそう多くありません。
| 評価軸 | 評価 | ひとこと |
|---|---|---|
| 作りの確実さ | ★4.0 | 英国製のグッドイヤーウェルテッド |
| 履き心地 | ★3.5 | 英国靴らしく、履きならしに時間がかかる |
| サイズ展開 | ★3.0 | 取扱店が少なく、在庫も限られる |
| デザインの汎用性 | ★4.5 | 端正なストレートチップ。スーツと相性が良い |
| 価格の納得感 | ★4.0 | 英国製でこの価格は目を引く |
Vシリーズ 1213 ストレートチップ
- 価格:47,300円(税込)
- カラー:EW10 ブラック/EW11 ウォルナット
- 素材:カーフ ソール:ダイナイトソール
- 製法:グッドイヤーウェルテッド 生産国:イギリス
- 価格の確認先:菅原靴店の商品ページ
カーフのアッパーにダイナイトソールという組み合わせで、雨の日にも使えます。4万円台後半なので、この記事の中では上のほうの価格です。
5.YANKO(ヤンコ)
スペイン・マヨルカ島の靴ブランドです。グッドイヤーウェルト製法で、日本でも長く紹介されてきました。
ただ、国内の在庫状況が読みにくいブランドでもあります。今回確認したモデルも品切れ中でした。狙うなら、取扱店の入荷を気長に待つ心構えが必要です。
| 評価軸 | 評価 | ひとこと |
|---|---|---|
| 作りの確実さ | ★4.0 | スペイン製のグッドイヤーウェルト |
| 履き心地 | ★3.5 | 細めの木型。幅が広い足には合わせにくい |
| サイズ展開 | ★3.0 | 在庫が不安定で、欲しいサイズを選びにくい |
| デザインの汎用性 | ★4.0 | パンチドキャップは華やかで、休日にも合う |
| 価格の納得感 | ★3.5 | 5万円手前。入手性を考えると評価は控えめ |
14727 パンチドキャップトゥ
- 価格:49,500円(税込・確認時点では品切れ)
- 素材:ボックスカーフ ソール:ヨークソール
- 製法:グッドイヤーウェルト 生産国:スペイン
- 価格の確認先:フットモンキーの商品ページ
つま先の切り替えに穴飾り(パンチドキャップ)が入ったモデルです。純粋なストレートチップより少し華やかなので、仕事にも休日にも使いたい人向けです。
予算と使い方で選ぶなら
- とにかく失敗したくない/試着してから決めたい → リーガル 315R(39,600円)かスコッチグレイン
- 3万円前後で抑えたい → スコッチグレインのアウトレット(三井アウトレットの実店舗・公式オンラインアウトレットストア)
- 同じ価格で作りの良さを取りたい → ジャランスリワヤ 98321(39,600円)
- 雨の日も1足で済ませたい → ジャランスリワヤ 98651 EDWARD、またはロイドフットウェア 1213(どちらもダイナイトソール)
- 海外の靴に憧れがある → ロイドフットウェア(イギリス)かヤンコ(スペイン)
個人的には、1足目は試着できるブランドの黒のストレートチップをすすめます。自分の足のサイズとウィズが分かってから、2足目で冒険するのがいちばん失敗が少ないと思います。
10年履くための手入れは、たった4つ
どのブランドを選んでも、手入れをしなければ10年はもちません。といっても、やることは多くありません。
- 履いたあとはブラッシングでホコリを落とす
- シューキーパー(シューツリー)を入れて形を保つ
- 同じ靴を毎日履かず、1日休ませる
- 汚れがたまってきたらクリーナーで落とし、クリームで保湿する
そしてソールが減ってきたら、履きつぶす前に修理に出してください。グッドイヤーウェルトの靴は、それを前提に作られています。
手入れの基本はこちらにまとめています。
よくある質問
はじめての革靴は何色がいいですか?
仕事でも使うなら黒です。黒のストレートチップなら冠婚葬祭まで対応できます。休日用の2足目として茶色を選ぶ、という順番がおすすめです。
1〜2万円の革靴ではだめですか?
だめではありませんが、その価格帯はセメンテッド式(接着)が多く、ソール交換を前提にした作りではありません。履きつぶして買い替えるつもりなら選択肢になりますが、「10年履く」という話とは別の買い方になります。
グッドイヤーウェルトかどうか、どこで分かりますか?
商品ページの「製法」の欄に書かれています。書かれていない場合は、店員さんに聞くのがいちばん確実です。同じブランドの中でも製法は混在しているので、ブランド名だけで判断しないでください。
ソール交換はいくらかかりますか?
修理の内容と店によって変わるので、ここでは金額を書きません。ブランドの修理窓口に出すのが基本で、スコッチグレインのように自社で修理を受けているブランドもあります。購入前に修理の相談先があるか確認しておくと安心です。
この記事の価格はいつの情報ですか?
2026年10月時点で、各販売店の商品ページで確認した税込価格です。リーガルは2026年10月14日の価格改定後の金額を載せています。価格は変わるので、購入時は必ず販売店で確認してください。
まとめ
この記事では、「ソール交換ができて、手入れをすれば10年以上履ける」という条件で2〜5万円の5ブランドを並べました。
- 製法はグッドイヤーウェルト(またはハンドソーンウェルテッド)で選ぶ
- 1足目は黒のストレートチップかプレーントゥ
- ブランドより先に、サイズとウィズを実店舗で確かめる
この3つを押さえておけば、大きく外すことはないと思います。
なお、パラブーツやダナーのようなカジュアル寄りの革靴、スニーカーのように履ける革靴は、使い方も価格の考え方も違うので別の記事で扱います。








